2018年05月03日

年末調整の間違い

確定申告も終わってしばらく経ちました。
そろそろ、昨年の所得についての振り返りをされてみるのはいかがでしょうか?

事業所得のある方であれば、毎年確定申告を行いますが、給与所得のみの方は、通常、
年末調整で全てが終わります。

しかし、年末調整が間違っていたら、いかがでしょう?






◯年末調整は誰がやる?

年末調整は、会社に担当者がいてやっている場合と、税理士に依頼する場合があります。

税理士に依頼する場合、通常は資格のない職員にやらせて、税理士がチェックするという体制を
採っているところが多いと思います。

会社の担当者がやる場合、必ずしも専門知識があるわけではないため、
生命保険料等の控除の計算が間違っている可能性は大いにあります。


税理士に依頼した場合、普通に考えれば「間違っているはずがない」のですが、
間違っていることもあります。


以前、ある税理士から、寡婦に該当する人について「年少者は扶養控除の対象にならないので
給与計算が間違っている。年末調整で大幅に徴収となる」と言われたという話を聞きました。

どうやら、その税理士は基本中の基本である「寡婦控除」すら知らなかったようです。
※寡婦に該当する場合、子の年齢に制限はなく、給与計算上は扶養親族等の数に1を
加える形となります。

では、なぜその税理士はその程度の知識もないのでしょう?


◯税理士資格の取り方

一般的には、税理士試験に合格したら税理士になれると思われていると思います。
ですが、税理士になるには様々なルートがあります。

1.税理士試験に5科目合格

税理士試験は、必修科目である「簿記論」「財務諸表論」の2科目、選択必修科目である
「法人税」「所得税」のいずれか1科目以上、選択科目である「相続税法」「消費税法」
「事業税」「国税徴収法」「酒税法」「住民税」「固定資産税」のうちいずれか2科目
(選択必修科目を2科目合格した場合は1科目)、計5科目を合格することによって、
税理士試験合格となります。

※「消費税法」と「酒税法」、「事業税」と「固定資産税」はそれぞれ1科目ずつしか
選択できません。

試験科目を見てみると、色々な疑問が浮かんできます。
例えば、「相続税法」に合格せずに税理士になった人に、まともに相続案件の対応ができるのか?
「酒税法」は実務としてほとんど使う機会がないのでは?


そうなんです。試験合格組の税理士と言っても、それだけ違いがあるんです。

試験合格組の税理士が、他の方法で税理士になった人よりも優秀な税理士である可能性が高いのは
間違いありませんが、どの科目に合格したかによって知識量は大きく異なります。

そのため、税理士を選ぶ際に「税理士試験に合格したかどうか」だけを聞くのではなく、
「どの科目に合格したか」も併せて聞くことをオススメします。



2.弁護士又は公認会計士

弁護士又は公認会計士は、登録するだけで税理士となることができます。

公認会計士の場合は、業務内容が近いのでまだ良いですが、弁護士は本業の方が明らかに
稼げるのに、敢えて税理士登録するのは、よほど本業で仕事がないか、税務訴訟をメインに
扱っているため税理士登録したかのいずれかだと思います。


3.税務署・国税OB

10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、
会計学に属する科目が免除されます。

これによって税理士になった人のことをOB税理士といいます。
OB税理士は税務調査に強い、と聞くこともあると思います。

OBだから顔が利く、というのは間違いですが、調査対応実績の少ない税理士と比べたら、
税務調査に強いのは間違いないでしょう。


ただ、税務署では違う税目の課に異動することがほとんどないそうなので、
特定の分野にしか詳しくないというが実態
のようです。


4.ダブルマスター

信じられないような話ですが、平成14年3月までに大学院に入学した人は、商学の学位を
取れば会計系の科目(簿記論、財務諸表論)、法学または経済学のうち財政学の学位を取れば
税法系の科目(選択必修科目、選択科目)が免除されます。

※平成14年4月以降に大学院に入学した場合は、会計系1科目、税法系2科目の
合計3科目が免除

つまり、大学院を2つ出ていれば、無試験で税理士になれてしまうのです。
入学も、卒業も難しい大学院であればともかく、お金さえ払えば誰でも入学できて、
誰でも卒業できるような大学院でも税理士になれてしまいます。

前述した寡婦控除すら知らない税理士は、おそらく後者でしょう。


税理士は77,000人ぐらい登録者がいて、約45%が試験合格組、
約35%がダブルマスターという構成
となっています。

税理士資格の取得経緯からすると、試験免除組よりも試験合格組の方が、知識があるのは
間違いありません。

また、ダブルマスターだからといって全員が実務能力がないかというと、そんなことはなく、
税理士登録後も頑張って勉強を続けている人も、少数ですがいます。

ですが、寡婦控除すら知らないのに何の努力もしないような残念な人もいます。
個人的には、能力、知識を担保できない人にまで資格を与えるべきではないし、
今からでも、免除組は一定期間内に試験に合格しなかったら資格停止などの対応が
あったほうが、税理士という制度そのものへの信頼が高まると思います。


長くなってしまいましたが、これらの事情から、税理士に依頼をしていても、
年末調整(確定申告も)が間違っていることがあるのです。

もし間違っていた場合は、翌年1月31日までであれば年末調整の訂正、それを過ぎて
しまったら、還付申告(払いすぎていた場合。最長5年分)を行うことができます。

税理士が間違えていた場合、普通は無料で対応してもらえるはずです。対応しなかったり、
費用を請求された場合は、その税理士の所属税理士会にその旨を連絡すれば、
事実確認の上、厳重注意(悪質な場合は懲戒も?)となると思います。




他の士業と比べて、登録者数が異常に多い(2番目に多い行政書士でも47,000人程度)のが
税理士の特徴です。

そういう意味では、選択肢も多いので、知識レベルが低すぎたり、対応が悪い等問題が
あった場合は早めに他の税理士に変更した方が良いでしょう。

posted by 気まぐれなFP at 18:48 | 資格 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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