2018年05月05日

士業の合同事務所

弁護士や税理士、社会保険労務士などの士業が、合同で一つのオフィスを使用する、という
経営形態があります。
顧客側からすると、「ワンストップで様々な分野の対応をしてもらえる」というメリットが
ありそうに思えます。
デメリットはないのでしょうか?




◯マイナンバー関連
マイナンバーは、2016年から始まった制度で、扶養控除等(異動)申告書、源泉徴収票、
雇用保険各種手続き、健康保険・厚生年金保険各種手続きの際に必要となるものです。

これらの手続きを行う税理士、社会保険労務士はマイナンバー取扱事業者となります。

マイナンバーの収集・利用・管理・廃棄については、法律で厳格に規定されています。
簡単にいうと、行政手続き以外には利用してはならず、管理も徹底する必要があります。

アクセス制御等は当然のことですが、担当者以外がマイナンバーを扱えないように
物理的安全管理措置を執る必要があります。
これは、マイナンバーを取り扱うスペースを物理的に隔離するなどをいいます。

開業している税理士、社会保険労務士が、それぞれの顧客情報が混在しているオフィスに
同居しているのは問題がありそう
です。人数が多ければ多いほど、物理的に難しく
なりそうです。

このことは、税理士同士、社会保険労務士同士でも同様です。


◯顧客情報
マイナンバー以外においても、誰にどんな顧客がいるのか、情報が筒抜けになって
しまいます。
極端な事をいえば、自社の決算書が、同居しているだけの第三者に自由に見られる
可能性もあります。

電話の内容も筒抜けになります。

合同オフィスの外には漏れないであろうとはいえ、契約しているわけでもない第三者に
対して情報を知られるのは気持ちが悪いですね。


◯合同事務所の実態
合同事務所として活動している理由には、様々なものがあります。

1.規模の問題
開業して間もなかったり、営業センスがなくて売上が低く、一人で事務所を借りるのは
難しいという人が集まっていることが多いです。

開業して間もない人はまだしも、営業センスがない(例えば、コミュニケーションが
下手など)場合は、周りにどんな人がいようと、その人に依頼するメリットはありません。


2.業務範囲の拡大
税理士が社会保険労務士を雇うなど、税務から社会保険等の手続きまで、全て行うことが
できるようにしようというものです。

これには大きな問題があります。
例えば税理士が社会保険労務士を雇ったとすると、
A 税理士事務所の「勤務社労士として登録」の場合
勤務社労士は自社内の手続き以外行うことができないため、税理士事務所の関与先の
手続きを行った場合、違法
となります。

税理士が「うちには社労士がいるから」と営業した場合、社会保険労務士でない者が
社会保険労務士の名称を用いたとして社会保険労務士法第26条違反
となります。

B 税理士事務所と同じ住所で開業社労士として登録の場合

開業社労士としてであれば、同居している税理士の関与からの依頼を受けて社労士業務を
行うことができます。
ただし、税理士からの「紹介」として直接契約する場合に限ります

税理士が報酬を受け取り、それを手続き報酬等として社会保険労務士に支払った場合、
「非社会保険労務士との提携の禁止」として社会保険労務士法第23条の2に違反
します。

いずれにしても、違法となる状態で業務を行っている可能性があります。


3.開業して間もない場合
士業事務所の職員として働いていた人が、資格を取得して独立するケースは多々あります。
しかし、開業当初からお客さんがいることは少なく、独立前の事務所を間借りさせてもらうと
いう人も多いです。

この場合、所長としては親心で同居させてあげており、顧客情報も、職員として
勤務していた頃から全て知っているので、情報漏えいの観点からは問題ないように思えます。

しかし、番号法の主旨を踏まえると、税理士、社会保険労務士に関しては間借りも問題が
ありそうです。


これらからすると、合同事務所という形態を採っている事務所については、マイナンバーが
絡む税理士、社会保険労務士に関しては、あまり依頼しない方が良いかもしれません


ただ、弁護士と司法書士、弁護士と行政書士、弁護士と弁理士、司法書士と行政書士といった
組み合わせであれば、ワンストップで任せられますので心強い
と思います。

士業というだけで、ある程度の信用はできそうにも思えますが、法令をしっかり守っているのは
当然として、モラルもある人に任せたいですね。

posted by 気まぐれなFP at 10:16 | 資格 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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